認知行動療法は、短期的に考え方を変える方法として人気ですが、実は合う人と、合わない人がいます。
⓵過去に強烈なトラウマ体験がある人・・・虐待を受けていたり、ひどいイジメを受けていた人は、自分に対して持っているイメージがあまりにネガティブで強力なため、認知行動療法では歯が立たない場合があります。こういった方は、まず過去をしっかり掘り下げ、消化していくための精神分析的なアプローチをやる必要があります。
⓶理屈より感情で考えるタイプの人・・・認知行動療法は、理論的な方法を使って考え方を変えていく方法です。そのため、物事を理論的に考える人には非常に納得感があり、高い効果が出ます。その反対に、感情や直感で物事を判断するタイプの人には、「頭では分かるけど、何か納得できない」となってしまいます。
⓷アダルトチルドレンで、親から受けた影響が大きい人・・・⓵のパターンのようにトラウマと言えるほどの虐待を受けていなくても、家族の影響により、自分に対するイメージが非常にネガティブな人もいます。こういう方も、やはり認知行動療法をやってもネガティブな感が方がなかなか変わらないものです。その場合は、まずは精神分析的なアプローチを使い、過去の原因から探っていく方が効果が高いでしょう。
上記のようなケースでは、せっかく認知行動療法をやっても、残念ながらぱっとした効果が出ないのです。
そうならないように、カウンセリングの1回目に、上記のような事を確認されるかと思います。相談者の方からも、上記に思い当たる事があれば、積極的にカウンセラーに伝えるようにして下さい。
ただ、認知行動療法は人気があるので、「どうしても認知行動療法を試してみたい」という方もいます。そういう場合は、試しに受けてみて効果が出るか見るのも手です。2~3種類の認知行動療法をやってみて、効果が出なければ、他のアプローチに移ることも、もちろん可能です。